「直訳」と「翻訳」のあいだ②

*ここでいう「直訳」は、原文臭さの残った訳。

「翻訳」は、原文の形式的な構造を自然な日本語に再構築させた訳。

 

enaアーバイン校です。

ちょっとしたミニ和訳講座を再度お届けします。

無生物主語構文を和訳するのは難しい(らしい)ということを、どこかで見聞きしたことはありますか?

「確かに・・・」と実感を込めて納得する生徒もいれば、「え?!そうなの?なんで?」と思う生徒もいるかもしれません。

日本語ではあまり用いられない構造の文を日本語に訳そうとすると、どうしても不自然な日本語になってしまいます。

次の英文はどうでしょうか。

A little reflection will show you what a stupid answer that is.

直訳してみます。

「ほんの少しの熟考があなたにそれがどれだけばかげた答えなのかを示すでしょう。」

まちがっている訳ではないですが、日本語としてはイマイチな感じがします。

原文も訳文もA little reflectionが主体でyouを客体とした訳になっており、ある考えがどこからかあなたに何かを教えてくれているような関係になっています。

ここで熟考してみましょう。「本当にそうなのでしょうか??」

 

ここでヒント。reflection(名詞)をreflect(動詞)として捉え直し、その主体が何なのかを考えてみましょう。

考えている主体は何か?または誰なのか?・・・

そう。答えは“you”です。(文中の)youが考えています。

 

reflectionという名詞には動詞のreflectが内包されているので、その意味上の主語を探していくのが「良い和訳」に到るための重要なアプローチなのです。

そうすると、

『ちょっと考えてみれば、それがどれだけばかげた考えなのか(君にも)分かるだろう。』

といった感じになります。*文脈次第ですが。

なんだか状況が色々想像できそうな生きた訳になりますよね。

 

それでは類題です。以下の英文を上記のアプローチで訳してみましょう。

A glance at the letter darkened her face.

――訳してみたら以下を読み進めてください―――――――――――――――――

glanceは直前にAがあるので名詞ですが、動詞のglanceもありますよね?

Glanceしたのは・・・そう、herで示されている女性のはずです。

そうすると、

「その手紙をちらりと見ることが彼女の顔を暗くさせた。」という訳よりも、

『その手紙をちらりと見ると、彼女は顔を曇らせた。』とする方が自然な訳です。

 

いかがでしたか?

主語の名詞を動詞として捉え、その意味上の主語を探して訳そうとしてみる≫と、

こなれた訳になることがある。

覚えておきましょう。

(ktn)

 

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