「わかる→できる」をつみ重ね、やる気に火をつける(2)
今年度のデトロイト校のテーマは、【「わかる→できる」を積み重ね、やる気に火をつける。】です。
やる気に火をつけるために、大小様々なワザを使うわけですが、その中でも特に力を入れているのが、テーマの中にあえて盛り込んだ、
【「わかる→できる」を積み重ねる】ことです。
「わかる!」というのは説明を聞いて、理解することです。「異分母の足し算はそうやるのかぁ」とか、「助動詞+have+過去分詞」はそういう意味なのかぁ」と納得することです。この瞬間、生徒は「理解した!」という喜びに包まれ、目を輝かせ、教師は「うまく説明して、わかってもらえて、生徒たちの目が輝いている!」という喜びに包まれ、教室は幸せに包まれます。しかし、ここで終わってしまうと、この教室はバカのナルシストたちの集会場ということになりかねません。受験ということでいうと、「わかる!」ということにほとんど意味はないからです。
サッカーでトラップの仕方がわかっていても、試合中に来たパスをトラップできないと意味がないように、管楽器でアンブシュアの作り方がわかっていても実際の演奏でピッチ、音色などをコントロールできないと意味がないように、「わかる」問題でも、実際に試験で自力で正解を出せなければ、「わからない」問題と全く同じ結果=不正解となります。
「できる」というのは、「試験で、自力で正解を出せ、答案上に表現できる」ということです。受験では、この状態になってはじめて、勉強が意味のあるものとなります。
ある程度の能力のある教師に習えば、「わかる」までは比較的たやすくたどり着けます。(「わからない」授業が続くようなら、すぐにでも塾を変えるべきです。)しかし、「わかる」と「できる」の間には、個人差がありますが、大きな壁があります。勉強はいわば脳のスポーツなので、自分で紙と鉛筆で解いてみなければ、それも1回ではなく、機械的にできるぐらいまで何回も繰り返さなければ、「できる」状態にはなりません。
どのくらい繰り返せば「できる」状態になるかは、個人差がありますし、同じ人間でも科目によって、分野によって違いがあります。また、その単元の重要度によって、ここは必ず100%できないといけない、という場合や、まあ80%できればよし、という場合もあるでしょう。しかし、30%とか50%ではどうでしょう?ちょっと「できる」とはいい難いですね。
はじめのうちは、先生に「100回書け」とか「このプリントを10枚やれ!」とか言われて渋々やっているうちに、確認テストで満点がとれたりして、「あ、俺『できる』ようになっている!」ということに気がつきます。この「わかる」→「星 飛雄馬的努力」→「できる」という体験を繰り返していくうちに、どれぐらいやれば「できる」ようになるか、という感覚が身についていきます。
勉強ができる子、というのは、この「わかる→できる」という経験をくりかえして、「できるようになる」感覚を身につけた子、ということができます。こうなった子は、どの単元でも、「できる」まで勉強するようになるので、より成績があがり、また次の単元もがんばる、という良い循環が起きます。
勉強が出来ない子は、「わかる→できる」という経験が少ないため、はたして自分が「わかってない」のか、「わかったけど練習不足で得点がとれない」のかの判断ができません。それで、何をどれぐらい勉強したらよいかわからず、結局得点できず、がんばっても点がとれないからやる気が出ない、という悪い循環に陥りがちなのです。
勉強するモティベーションには様々なものがあります。「テストで~~点とれば××が買ってもらえる」「これで満点とればenaのかわいい××先生からほめてもらえる!」こういう外側からの動機も強力ですが、それと同じくらい、ときにはより強力なのが、「がんばったら、できるようになって、テストで点が取れた」という達成感です。
「わかる→できる」という経験は、それ自体が「できるようになった!」という達成感=ご褒美を含んでいるため、「もう一度味わいたい」という気持ちがおこり、この積み重ねが「やる気に火をつける」ことにつながります。そして、このように内部から点火した炎は、外側からエサで釣った場合と違い、ちょっとやそっとじゃ消えない強い炎であることが多いのです。
この「わかる→できる」という経験をできるだけ多く積み重ねてもらうことが、遠回りでも、一番確実に「やる気に火をつける」近道だ!という信念で、私たちは「わかった」顔で輝いている生徒に、「できる」ようになる必要十分な課題を与えます。
そう。今日数学で5ページも宿題が出て、一瞬で輝きが消えてしまった○○君たち。僕は君をいじめたいわけじゃなく、「できる」ようになってほしいだけなんだ!
さて。やる気に火のついた、『やるきつね君(仮)』を支えるサブキャラクター、1人目は、やるきつね君が「できる」までじっくり導いてくれる『オウル先生(仮)』です。ジャーン!
次回は、もう1人残っているサブキャラクターを紹介しながら、「ようやく点りかけている生徒のやる気の炎を、一瞬でかき消してしまう両親のヒトコト」、というテーマで、もうちょっと「やる気」についてお話したいと思います。
文責 金森陽一
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