paraphraseの手法8:態の変換 active to/from passive
これまで帰国生の英語のエッセイを数千数百と添削してきましたが、「受動態を用いた文(受動文;passive sentences)をあまり使わないな」という印象があります。実際、アメリカで出版されている英文法書では「Keep active!」と、なるべく受動文を避け、能動文を使うべしといった説明がされているのを散見します。確かに、能動文の方が明確で直接的で、考えをより力強く伝えることができ、より良い理解を促進することができる側面はあります。とはいえ、受動文にも存在理由があります。動作主が不明で表現しようがなかったり、動作主そのものは重要でなく何が行われてしまったのかの方に伝えるべきポイントがあったり、学術的な文章においては文に客観性を与える必要があったり、そういった理由で受動文が好まれるケースもあるのです。そしてもう1点、受動文は「paraphrase(言い換え)の一種」としても機能するのではないでしょうか?文の組み立ては変わっても、全体としては同じような内容を持っている・・・立派なparaphraseです。不自然にならないのであれば、受動文の方がアカデミックで英文法力を感じさせる英文形態に感じられるはずです。*そもそも、受動文を作るには過去分詞(past participles)の使い方を知らなければならず、その辺が日常的な話し言葉で英語を学んできた(小中で帰国となった)帰国子女は理屈としてまだ「習っていない」のが、うまく使いこなせていない理由なのかもしれませんね。(文章を読めば出てくるので理解はできるが、本人としてはあまり用いないという。。。)
それでは、能動文から受動文へのparaphrase、受動文から能動文へのparaphraseをそれぞれ見ていきたいと思います。(*一部日本語訳を付けています)
I. 受動文から能動文へparaphrase:
① Vulnerabilities in digital systems are constantly sought to be exploited by hackers. ⇒ Hackers constantly seek to exploit vulnerabilities in digital systems. 日本語訳:ハッカーは常にデジタルシステムの脆弱性を悪用しようとしています。
② The impact of plastic pollution on marine ecosystems is being studied by scientists. ⇒ Scientists are studying the impact of plastic pollution on marine ecosystems. 日本語訳:科学者は海洋生態系へのプラスチック汚染の影響を研究しています。
II. 能動文から受動文へparaphrase
① Artificial intelligence enhances efficiency in various industries. 日本語訳:人工知能がさまざまな産業で効率を向上させています。 ⇒ Efficiency in various industries is enhanced by artificial intelligence.
② Governments worldwide are promoting renewable energy sources. 日本語訳:世界中の政府が再生可能エネルギー源を促進しています。 ⇒ Renewable energy sources are being promoted by governments worldwide.
最後に、次の能動文を受動文に直してみましょう。(答えはイラストの下に薄くタイプされています)
Online shopping has revolutionized the way people buy products.
オンラインショッピングが人々の商品購入方法を変革しました。
解答:The way people buy products has been revolutionized by online shopping.
見比べてみるとどうでしょうか?機械的に並べ替えただけと言えるかもしれませんが、主語がガラっと変わっていることもあり、だいぶ見かけや印象が変わる文になっています。要約問題においては、原文にある表現を書き抜いただけではダメとされるわけですが、受動文は構成要素がほぼ同じだとしても語順が変わることで、「そのままは書いていないよアピール」になると思います。
態変換のコツをつかめば、パラフレーズ力がまた一段階UPするはずです。
文責:片野
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