paraphraseの手法3:反意語/反意語変形を用いて言い換える

色の反転色の反転+

今回はantonym(反意語)またはantonym variant(反意語変形)を用いて言い換える手法について説明してみようと思います。「反意語を使ったら、意味が反対になるじゃないですか!」という声が聞こえてきそうです。
確かに。そのまま用いたら意味が反対になってしまいますので、否定語と掛け合わせます
マイナス×マイナス=プラスということです。
呪術廻戦用語で説明すれば、負の呪力に負の呪力を掛け合わせて正の呪力を生じさせる反転術式です。
先ずは、前回のブログ記事でとりあげた英文①②を改めて見てみましょう。
英文①:Heaven is impartial and helps only the virtuous.
英文②:Heaven does not favor anyone and only helps those with virtue.
① のimpartialは「公平な」という意味の形容詞です。一方②のdoes not favor anyoneは「特定の誰かをひいきしない」という意味の*動詞句(verb phrase)です。分かりますね?品詞は違いますが似たような意味を表しています。形容詞impartialの意味を動詞favorにnotを掛け合わせることで言い換えています。(注:動詞句は句動詞とは違います。英文法用語として「述部」と同義的に用いられることのある用語ですが、今回は品詞に焦点を当てるために動詞句という言い回しをあえて使っています。)

もう1組見てみましょう:
英文③:Heaven is unbiased and lends a hand solely to individuals of moral integrity.
英文④:Heaven shows no bias and extends its aid solely to the righteous.
3のunbiasedは「偏見のない(=公平な)」という意味の形容詞で、4のno biasは(ここだけを和訳するのは難しいですが)「偏見のないこと」を表す名詞句です。*形容詞unbiasedに対する名詞biasが反意語変形(意味が逆で品詞は違う語)ですよ。

なぜか反意語変形の方を先に説明するかたちとなってしまいましたが、同じ品詞の反意語を用いた言い換えも確認しましょう。次の英文を見てください。
英文⑤:Heaven is not partial and helps only the virtuous. (英文①のimpartialを同じ品詞のpartialとnotで同義的にしています)
英文⑥:Heaven is not biased and lends a hand solely to individuals of moral integrity.(英文③のunbiasedを同じ品詞のbiasedとnotで同義的にしています)

コツをつかめば、類義語を調べて他の組み合わせを考え出すことができるようになります!
例1) 反意語を用いた反転:even-handed(公平な) = not tendentious(偏向していない)
例2) 反意語変形を用いた反転:neutral(中立的な) not take sides(どちらかの側に立たない)

分かってきたでしょうか?
パラフレーズ領域における「反転術式」を是非マスターして頂けたらと思います。

文責:片野

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