スペシウム光線の撃ち方(西船橋校)

2022年5月29日(日) ena 国際部西船橋校

 

土砂降りのある午後、ある婦人が傘もささず天を見上げ号泣している。

婦人に老紳士が歩み寄り、傘を夫人のほうに差し出し話しかける。

 

「そこの御婦人、どうしてお泣きになっているのですか?、もしよろしければ、この老爺がお聞きしましょう」

「すみません。悲しみのあまり人目をはばからず泣いておりました。」

「それはそれは。。。。どのような悲しいことがありましたか? お話しなさい。少しは気も晴れるでしょう」

「はい、実は子どもが本を全く読まないのです。読めと言ってもさっぱり。。。。」

「それは、さぞお辛いでしょう。お気持ちお察しします。」

「どうすれば、本を子供が読んでくれるでしょうか?」

「本が嫌いな子どもとは、本を読むことがつまらない、ということです。」

「はい」

「しかし、読書好きにとって、読書とは楽しみそのものです。」

「はい」

「まずは、子どもに読書とは楽しいものと気づいてもらう必要がある」

「どうやって?」

「最初は、お子さんが読みたい本を本屋で選ばせておやりなさい。」

「わかりました。」

「その時にやってはいけないことがあります。子どもがたとえ『スペシウム光線の撃ち方』という本を選んでも否定してはいけない、ということです。」

「え、、、、でも、実際にはスペシウム光線は撃てませんが」

「それでもです。子どもにとってスペシウム光線が楽しければ、読書も楽しくなります。そして、読書は楽しいというその経験が、次の読書につながるのです。」

「なるほど」

「そのときお母さんも一緒に「スペシウム光線」本を読んでおあげなさい。」

「お母さんとの楽しい読書体験も、子どもが読書好きになるきっかけになります。」

「わかりまして。ほかに私がすべきことはありますか」

「お母さんが読書をしているところを、子どもに見せるのが大切です」

「。。。。。」

「たとえば、ヒップホップダンスの会話がない家庭の子が、ヒップホップダンスに興味を持ちますか」

「いいえ」

「読書も同じです。まずはお母様が本を読み、楽しんでいるところ見せておやりなさい。そうすればきっと子どもは本の虫になりますよ」

「わかりました。ありがとうございます!」

「いえいえ、こんな私でもお役に立てたのなら幸いです。」

 

 

その時、雨はすでに止み、空は透きとおるくらいの碧さだった。

 

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